生コンクリート の品質とコンクリート構造物 の品質
~製造者と施工者それぞれの責任と連携~
2025.07.30

私たち生コンクリート工場では、毎日、固まる前の“フレッシュな建材”である生コンクリートを建設現場にお届けしています。
この生コンクリートは、まだ完成していない「半製品」と呼ばれるものです。現場で型枠に流し込まれ(打設)、振動機などでしっかりと締め固められ(締固め)、そして適切な湿度や温度で管理されながら固まる(養生)ことで、はじめて「コンクリート構造物」という完成品になります。
そのため、「生コン」の品質確保は私たち製造側の責任であり、「構造物」の品質確保は、実際に現場で施工される皆さま――私たちにとって大切なお客様である施工者様の手に委ねられています。
どちらが欠けても、コンクリート構造物は本来の性能を発揮できません。互いの役割を理解し、協力し合うことが大切だと私は考えています。
コンクリート構造物に求められる「品質」とは?
設計段階で想定されている理想のコンクリート構造物とは、次のような特徴を持つものです。
■ 密実性
コンクリート内部に余分なすき間がなく、空気や水が入り込みにくい状態のこと。締固めがしっかり行われていると、密実性が高まります。これにより、劣化の原因となる物質(酸素、二酸化炭素、塩分など)が侵入しにくくなります。
■ 均質性
コンクリートの中の材料(セメント・水・砂・砂利など)が均等に混ざり、場所によって強さや性質に偏りがないことを意味します。施工中の分離(粗い砂利が沈んだり、水だけが上がってくる現象)などが起きてしまうと、この均質性が損なわれます。
■ 一体性
打ち継ぎ不良(作業の中断によってコンクリート同士がうまく接着しないこと)や、施工由来のひび割れなどがなく、構造物として連続性・連結性があることです。
■ 緻密性
内部がよく詰まっていて、微細なすき間も少ない状態。これは適切な養生によって確保されます。養生が不十分だと水分が抜けすぎて、十分な強度や耐久性が出ない原因になります。
生コン工場の役割と努力

こうした品質を現場で確保していただくために、私たちは生コンの配合設計や品質管理に日々取り組んでいます。
たとえば:
・打ち肌が美しく仕上がるように、使用する砂の種類や大きさを調整する
・単位水量を減らして強度を高めるために、骨材(砂や砂利)の粒のバランスを工夫する
・作業性と性能を両立するために、高性能減水剤などの混和剤を使って、流動性と強度を両立させる
こうした材料面での工夫を通じて、施工者様が「扱いやすく、品質の良い生コン」を使っていただけるよう努力しています。
コンクリート打設は「料理」に似ている
私は、コンクリートの打設は料理に似ていると思っています。
いくら良い食材(生コン)を準備しても、調理(施工)に失敗してしまえば、美味しい料理(良い構造物)にはなりません。
逆に、素晴らしい料理人(施工者様)に良い素材をお届けできれば、それは理想的な一皿となる――私たちはそう信じて仕事に取り組んでいます。
そしてそのためにも、「大分綜合の生コンを使いたい」 我々のつくる生コンを “良い食材”として選んでいただけるように、更なる品質向上に努めてまいります。
品質が確保されることで得られる効果
施工段階で品質が確保されると、次のようなメリットが得られます。

- 補修の減少
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品質が安定していれば、後からの補修作業が少なくて済み、工期や費用が抑えられます。
- 耐久性の向上
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コンクリートの密実性・均質性・一体性・緻密性が高まることで、ひび割れや劣化の原因が入りにくくなります。
- ひび割れ対策の確実性向上
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不要なひび割れが減り、設計上予測される「必要なひび割れ」のみが出るようになるため、対策も確実になります。
私たち生コン工場の仕事は、施工者様に信頼していただける“良い生コン”をつくることです。
これからも施工者様のご期待に応えられるよう、品質管理を日々続けてまいります。
